福井県ブロック協同組合

福井県ブロック協同組合メインビジュアル

ブロック塀の基礎知識 Basic knowledge

ブロック塀は、狭い国土で生活する私たちにとって重要な外構構造物として建設され、プライバシーの確保、防犯や防火などに役立っています。
しかし、地震などによる倒壊の事例が報告され、通学路、避難路、及び不特定または多数の人々が通行する道路に面するブロック塀の安全確保は、地域社会の共通する願いです。
ブロック塀の構造、耐久性、転倒防止対策を理解して、自己点検してみましょう。ブロック塀のような私的財産は、所有者の責任において管理するのが基本です。

9つの基礎知識

  • (1)塀に掛かる力
    (1)塀に掛かる力
    塀には、自然界からの力だけではなく、人為的な力も作用します。さらに、長い年月をかけて、徐々に性能を低下させるものもあります。安全なブロック塀はすべての力に対し抵抗できるものでなければなりません。
  • (2)塀の役割
    (2)塀の役割
    塀の役割は、外から作用する力より人々を守り、安心して暮らすことのできる環境をつくることです。塀と私たちが共存できることが大切です。また、狭い国土に生活する我が国では、敷地境界の表示も重要な役目です。
  • (3)ブロック塀は、なぜ転倒しやすいか
    (3)ブロック塀は、
    なぜ転倒しやすいか
    ブロック塀は、厚さに対する高さの比が大きく、超高層ビルよりもスマートです。このため、横からの力に対する抵抗力が小さく、倒れやすくなります。抵抗力を高めるためには、基礎を地中深く埋め込むことが大切です。
  • (4)ブロック塀の重さ
    (4)ブロック塀の重さ
    高さ1.6m、長さ1mのブロック塀の重さは、320~400Kgです。例え、その破片であっても、私たちの力で支えられるものではありません。倒壊などにより、高いところから直撃を受けると、重大な事態が生じます。
  • (5)ブロックの種類
    (5)ブロックの種類
    種々のかたちのブロックがあり、それぞれに役目や使用部位が決められています。用途に応じたものを選んで、使用しましょう。また、透かしブロックを多用すると、塀の強度や耐久性を低下させることがあります。
  • (6)ブロックの品質
    (6)ブロックの品質
    塀に使用するブロックは、強度が高く吸水率の小さいもの(日本工業規格・C種以上の性能を有するものが望ましい)を使用しましょう。また、ブロック塀の強度・耐久性をより向上させるため、厚さ12cm以上のブロックを使用しましょう。

(7)ブロック塀の仕組み

地盤は、塀全体を支え、基礎から一体となった塀の転倒に抵抗する役目を果たします。
従って、大きな支える力(地耐力)が要求されます。特に、軟弱地盤のところには、大きしっかりとした基礎を設けましょう。

(7)ブロック塀の仕組み
  • 地耐力は、次のような簡易法により、およその判別ができます。
    良質土:
    スコップを強く踏んでようやく掘ることができる。
    普通土:
    スコップに力を入れて掘ることができる。
    軟弱土:
    スコップで容易に掘ることができる。
  • 基礎は、鉄筋コンクリートで堅固に造り、塀本体と一体になって転倒しないように、40cm以上地中に根入れします。
    さらに、抵抗力の大きい形式の基礎として、L形、T形及び鋼管杭打ち基礎などがあります。また、高い擁壁や石積みの上に設けられている塀は、基礎に粘りがなく非常に危険です。安全対策を講じてください。
  • たて筋は、壁に作用する横力に抵抗する重要なものです。基礎から壁頂まで1本の鉄筋を曲げることなく配置します。特に、基礎と最下段ブロックとの接合部には、曲がりやさびがよく認められますので、注意しましょう。
  • また、たて筋は、建築基準法並びに日本建築学会・ブロック塀設計規準の規定を満足するように配置し、次の点に留意しましょう。
    A. 基礎へ確実に定着する。
    B. 壁頂部のよこ筋へカギ掛けする。
  • よこ筋は壁体の長さ方向を強固に一体化するもので、控え壁がある場合は、特に重要な役目をします。また、よこ筋は、通常80cm以下の間隔で配置します。
  • かさ木は塀本体へ雨水等が浸入するのを防ぎ、ブロック及び鉄筋を保護します。かさ木は、壁体へ確実に固定します。かさ木には、浮きや欠落がよく見られます。注意しましょう。
  • 控え壁(控え柱)は塀の転倒に対する抵抗力を増すために、長さ3.4m以内毎に設けます。控え壁にも鉄筋を配置し、塀本体と強固に一体化します。
    また、塀本体と同じ堅固な基礎を設け、反対側への転倒に対する抵抗力を確保します。
  • 透かしブロックの多用は、壁体の強度を低下させます。特に、連続した配置は、たて筋の適正な配置を困難にします。
  • 充てんモルタルは、鉄筋とブロックとを一体化させるもので、強固な壁体をつくるとともに、鉄筋を保護する役目を果たします。鉄筋の周辺部にモルタルが密実に充てんされないと、塀の強度低下や劣化を早めることになります。
  • (8)ブロック塀の規準
    ブロック塀が瞬時に倒れないための最低条件は、建築基準法に定められています。さらに、日本建築学会では建築基準法を補足するものとして「コンクリートブロック塀設計規準」を制定しています。
    ブロックの厚さ(cm) 15以上 12(10)以上
    塀の高さ(m) 2.2以下 2.0以下

    ※下線部は建築基準法による

  • (9)ブロック塀の高さ

    (9)ブロック塀の高さ

    解説:ブロック塀に横方向の力を加え引き倒したときの横力(Q)と水平変位との関係をモデル的に示すグラフです。建築基準法を守った健全なブロック塀(イ)は、横力に対し粘り強く抵抗します。しかし、鉄筋の入っていないブロック塀(ロ)は、小さな横力で瞬時に倒壊します。

<